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エンジンのトルクと馬力の関係

こんにちは!広報担当のヒロです!

今回はエンジンの性能評価の基本、「トルク」と「馬力」の関係について説明したいと思います。車の事を詳しく分からない方から「馬力は馬1頭の力って事は分かるけど、トルクって何ですか?」とか「馬力とトルクって何がどう違うんですか?」とよく質問されますが、あなたは説明できますか?

改めて分かりやすくまとめてみたいと思います。

「トルクとは何か?」

トルクを説明するときに一番分かりやすいのは、単位を見てもらう事だと思います。トルクの単位は「N・m」(ニュートン・メートル)です。

トルクと馬力の関係

 

超簡単に説明すると、「1N=0.1kg」です。(正確には加速度の説明も必要になりますが省きます)上の図の様に、テコ装置の端に0.1kgの物体が載っていて、反対側の1メートル先でその荷物を押し下げる力の量が「1N×1m=1N・m」になります。

その為、大体ですが20kgのお米をテコ装置にセットして、1メートル先から力を加えた値が約200N・mの力になります。(一般的な2L自然吸気エンジンの最高トルクです。)

また、図の様に肩を支点として鉄アレイを上に持ち上げる筋トレを知っていますか?実はこのトレーニング、肩の筋肉(三角筋)をテコ装置に見立てる事が出来ます。試してもらうと、あなた自身がトルクを意識出来ると思います。

肩を支点とした筋トレ

腕の長さは体格によって変わりますが大体0.55m~0.7mになります。(あなたの腕の長さも測定してみて下さい。)計算しやすい様に0.6mとして、5kgのダンベルを持ち、腕を下から肩の高さまで持ち上げると…50N×0.6m=30Nmの力を加えた事になります。(昔の2Lターボの最大トルクは大体300Nmでした。人が50kgのダンベルを持ち上げる力と同等です。どんだけ力強いんだよ。(笑))

「馬力とは何か?」

馬力とは元々は、馬1頭が1秒間に「出せる力」×「移動した距離」でした。もう少し科学的な定義をすると「1秒間の運動量」になります。エンジンの馬力を考えるを場合は「トルク」×「1分間の回転数(rpm)」とも言われています。

(※rpm: revolutions per minute またはrotations per minuteの略で,日本語では回転/分と理解して下さい。)

ここで注意して頂きたい点が、「運動量W」=「力の量」×「1秒間での移動距離m」で定義される事です。単純に「トルク」×「1分間の回転数n」=W(ワット:運動量)と計算してはいけない点です。よくある間違いは以下の3ヶ所あります。

①1回転は円運動なので、円の距離を計測するには「円周上の距離m×n回」をしなくてはいけません。(半径r(m)の円周は2πrですね…)

②1分間の回転数から1秒間の回転数に変換する必要もあります。(1分間は60秒なので…)

①と②を合わせると「移動距離」⇒「1分間の回転数n」⇒「1秒間の円周の移動距離m」に変換しなくてはいけません。つまり、「1分間の回転数rpm」=n回/分 ⇒ 1/60×2πr×n回 m/秒に変換しなくてはなりません。

③この場合の「力の量」は「トルクN・m」ではありません。単純にN(=0.1×Kg)になります。

つまり、上記の「力の量」×「1秒間の移動距離」は=「N」×「1/60×2πr×n回 m/秒」で正式な仕事量Wが計算出来ます。 
ちなみに、トルクは「N」×「r」なので、「トルク(N・m)」×「1/60×2π×n回/秒(トルクが掛かった状態の移動距離)」とも変換できます。ここを単純に「トルク」×「1分間の回転数n(rpm)」で計算すると、計算が合わなくなってしまいます。その為、単純に「トルク」×「1分間の回転数」の掛算をして仕事量を表したい場合は、計数を付けて計算する必要があります。

仕事量W=「トルク」×「rpm(回転/分)」×「1/60×2π」
    =「トルク」×「rpm」×「0.10472」になります。

では、本当に馬力計算は「トルク」×「rpm」ではいけないのか計算してみましょう。

「馬力」=「トルク」×「rpm」は間違い?

レクサスのV8エンジンの出力表を見て下さい。

出典:LC500エンジン出力表https://lexus.jp/models/lc/features/v8engine_10at/

最大馬力477馬力は351kWと記載されています。7100回転の時が最大馬力なので、表を見るとトルクは約480Nmです。単純に掛算すると、トルク×rpm=480×7100=3408000=3408kWになります。(4633馬力?!)

明らかな間違いですね…。

正解は480×7100×0.10472=356885w≒356kW。(良い値ですね。)

人間の筋力は何馬力?

上記の三角筋の運動を考えてみましょう。

5㎏の重りを持って、地面から肩の高さに上げた場合、円周上を1/4回転した事になります。例えば1分間に60回、運動したとしても15回転しかしていない計算になります。

そうすると、トルク(50N×0.6m)×rpm(15回転/分)×0.10472=47.1Wになります。ここで、1馬力は735.5Wなので…

0.064馬力にしかなりません。735倍すると、ようやく1馬力相当になります。馬1頭の仕事をするのに、735人用意しないといけないとなると、人間の力はどれだけ非力なのか。汗(産業革命で馬力単位で仕事が出来る様になった事はまさに、人間の科学革命、産業革命ですね。)

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